皆さんは、戦略と聞いてどのように定義しますか?
世間には非常に多くの戦略の定義があるのが、現実です。
私は、著作『「超」入門失敗の本質』で、戦略とは追いかける指標のことであると
定義しました。
あなたがチームで、自動車レースをしている場合。
エンジンの馬力を高くすることで、レースに勝てると考えるなら
「高馬力戦略」を採用していることになります。
運転手の熟練度で勝てると考えているなら、「ドライバー技量戦略」です。
車体を軽量化することで勝てると考えるなら、「軽量化戦略」というわけです。
ここで、重要なことが3つあります。
1つ目は、戦略を使いこなすためには、まず自分が「どんな指標を追い掛けているか?」を理解する
必要があることです。そんなこと、考えたこともない、とおっしゃる方もいるでしょう。
しかし、勝利に向けて何らかの行動をしている場合、無意識でも必ず何かを追求しています。
(その指標が効果的でなくとも)
2つ目の重要なポイントは、何度かレースをすることで、これまでの結果や戦果から
どんな指標がこのレースで有効であるかを「段階的に推察できる」ようになることです。
勝利したチームが何を追求しており、敗北を続けているチームが何を追求していないかを
観察することで、次第に見えてくるものがあるはずです。
3つ目の重要な点は、人には自己愛があることです。
人間は、自分が上手くできることを好む性質があります。自分が大切で特別な存在であると思い込みたい、そう証明したいという願望が誰にでもあるのです。
しかし、自分の得意なことがなんら優位につながらず、ビジネスでいえば利益を生む指標ではなくなった場合、どうすべきか。
適切な形で、自己愛を切り捨てなければいけません。
これができないケースは、意外にも大変多いです。これまでやってきたこと、これまでは有効だったことから決別する。
追いかける指標(=戦略)が不適切であるとわかっていても、敢えて負ける状況に甘んじてしまうのです。