ビジネスの現場でリーダーが直面する状況は多様で、様々なリーダーのスタイルを学ぶことは有意義です。『 30の名著とたどる リーダー論の3000年史 』(日経ビジネス人文庫)の本書にも登場するリーダーシップの名著を12冊紹介。仕事への姿勢を整えるために役立つ古典を、マネジメント層向けか若手向けか、かつ読みやすいか難解かで整理します。
■マネジメント層向けの名著の一冊
『 貞観政要(じょうかんせいよう) 』(呉兢[ごきょう]著/守屋洋訳/ちくま学芸文庫)
本書は、長い間、良い政治と治世を生んだ唐の皇帝太宗の逸話を紹介した一冊です。太宗の偉大さは「創業と守成」という2つのまったく違う状況を理解して、自らのリーダーシップを切り替えたことです。彼は混乱した前帝国である隋を打倒して、唐を建国した創業者でありながらも、平和な時代の名君は、乱世のリーダーとは違うことを理解し、時代の転換点で自らのリーダーシップを変化させたことで、後の世に語り継がれるような平和な時代を創り上げたのです。本書には現代のベテランリーダーにも役立つ英知が込められています。
■若手向けの名著の一冊
『 孫子[現代語訳] 』(杉之尾宜生編著/日経ビジネス人文庫)
戦争の基本的な心構えから好機の見つけ方、第一線のリーダーである将軍の行動原理、地形・情勢に応じた戦い方などが描かれています。「孫子の兵法」の特徴の一つは「勝つ側は、勝つべくして勝利している」という哲学です。偶然や幸運による勝利ではなく、勝者側は条件をすべて整えてから勝負を始めるというのです。現在のビジネスの世界でも広く読み継がれる「世界最古の戦略書」を読んでみてはいかがでしょうか。
その他の本の紹介はこちら(日経BOOKプラスのサイトへ)
はじめに:『30の名著とたどる リーダー論の3000年史』では本書の紹介があります(日経BOOKプラスのサイトへ)